「形成外科」ってなんですか?
最初はまじめにやりますよ~~^^
形成外科って初めて聞いた方もいらっしゃると思いますが、実は日本で誕生してから既に60年以上の歴史があります。正式には plastic and reconstructive surgery :形成再建外科とも呼ばれ、体表面の異常・欠損などをなるべく元の状態に回復させるための診療科です。
世界でも形成外科が専門分野として独立したのは近年ですが、形成手術そのものの歴史は古く、紀元前3000~2500年ころの古代エジプトのパピルスの記録に鼻のケガの治療法、紀元前1500年ころの記録には組織移植の記載があるのです。
また古代インドの罪人の「鼻そぎ刑」(゚Д゚;) への再建手術も発達したと紀元前600年ころの記録にあります。
どうしてこんなにも世の中へ「形成外科」が浸透していかないか。その理由は・・・
ここからは日本形成外科学会のホームページ(http://www.jsprs.or.jp/general/)に記載してあることの抜粋です。
「形成外科」とは、身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して、あらゆる手法や特殊な技術を駆使し、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることによって、みなさまの生活の質 "Quality of Life" の向上に貢献する、外科系の専門領域
<取り扱う疾患>
1. 新鮮外傷・新鮮熱傷
2. 顔面骨骨折および顔面軟部組織損傷
3. 唇裂・口蓋裂
4. 手足の先天異常(多指・少指・合指など)・外傷
5. その他の先天異常(副耳や小耳症などの耳介異常・先天性眼瞼下垂症・臍ヘルニアや臍突出症・漏斗胸など)
6. 母斑・血管腫・良性腫瘍
7. 悪性腫瘍およびそれに関連する再建
8. 瘢痕・瘢痕拘縮・肥厚性瘢痕・ケロイド
9. 褥瘡・難治性潰瘍
10. 美容外科
11. その他(爪や毛などの疾患・リンパ浮腫・顔面神経麻痺・腋臭症など)
~日本形成外科学会ホームページより抜粋~
わかりにくいでしょう??( ˘•ω•˘ )??
正直いって形成外科医ではない医療者の間でも十分な理解が得られていないというのが実情です・・・
そこで私なりに次のようにまとめてみました。
形成外科は、体の場所(部位や臓器)別の診療科ではないため、どのような診療科であるかを説明するのが難しい分野です。特に整形外科と美容外科(美容整形・美容形成)と何が違うの?と思っている方が多いのではないでしょうか。
本来は単純に分類することは難しいのですが、あえて大ざっぱに説明すると、「整形外科」は主に怪我や病気で失ったり損なわれた身体の機能や運動能力を、なるべく正常の状態に回復させる治療を行う診療科、「形成外科」は主に怪我や病気で生じた体表面の異常を、なるべく正常の状態に回復または再建する治療を行う診療科、「美容外科」は異常ではない正常な外観を、審美的に更に改善させるため手術や手技を施す診療科となります。
例えば・・・事故にあった車の、足回りやボディの修理を「整形外科」が担当、内装や塗装を「形成外科」が担当、事故で壊れる前の整備・点検・ドレスアップを「美容外科」が担当するようなイメージでしょうか^^
誤解を招く要因としては、それぞれの分野が扱う部位や治療法が部分的に重複していることや、単純に語感が似ていることから生じていると思われます。
形成外科は体表面の異常を扱うために、病気そのものの治療により「見た目」を改善させ、日常生活における精神的な負担を大きく軽減することが可能です。
そういう意味では、正常ではあるけれど本人にとってはストレスに感じる部分を改善することが可能な美容外科と似ていると言えます。事実、形成外科で扱う分野の1つが「美容外科」です。しかしながら「美容外科」は怪我や病気を治すことが目的ではないため、健康保険が適用されずに全て自費診療となり、形成外科の一分野としてよりは、独立した分野として考えた方が理解しやすいかもしれません。
実際に当院で行っている形成外科の保険診療は、体表の外傷(けが)や熱傷(やけど)、褥瘡(床ずれ)や皮膚潰瘍(治りにくい傷)、皮膚・皮下の腫瘍(できもの)、顔の怪我(鼻骨骨折など含む)や副耳(ふくじ)・耳廔孔(じろうこう)などの先天異常、加齢性の眼瞼下垂(皮膚の垂れ下がりによる見えにくさ)や陥入爪(まき爪含む)などの治療、ざ瘡(ニキビ)やざ瘡後の萎縮性瘢痕(凸凹になったニキビ痕)の治療を行います。
他に、外傷や癌などの手術後の瘢痕(目立つ傷あとや引きつり)やケロイド・変形に対する機能や形態の再建(修正)などの治療も行います。
また自費診療として、レーザー機器やイオン導入器・化粧品などによる「あざ」「しみ・しわ」「肌あれ」「ニキビ」「ニキビ痕」の改善や、レーザー脱毛、男性の薄毛治療などの他にプラセンタやにんにく注射も取り扱っています。
患者さんのQOL(Quality of Life)の向上のために、「目立ちにくい傷あと」「異常な状態の回復・再建」を柱として、さらには無理やりな若返りではなく「今より上の美しさ」をめざした診療を行っています。
・・・・結局範囲が広くて色んな領域を扱っているからワカリニクイという結論でいかかでしょうか??(◎_◎;)
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